石綿 薫(いしわた かおる) さん


COREZO
(コレゾ)
食べることは生きること、食は受け継ぎ、伝える文化、自然の生態系を利用した農業技術を開発し、自然農法による品種育成と採種の普及に取り組む研究者」賞

自然農法国際研究開発センター

Happy Vallege Farm

石綿 薫(いしわた かおる) さん

長野県松本市

自然農法国際研究開発センター 研究員

Happy Vallege Farm 農園経営


ジャンル

食づくり

農業

自然農法

品種育成


受賞者のご紹介


石綿(いしわた かおるさんは、長野県松本市にある自然農法国際研究開発センターの研究員で、奥様と「Happy Vallege Farm」という農園をしておられる。

 2013年、農作物の種のことを調べていて、その種で有名な方の講演を聞き、その方の説明では、雄性不稔という技術で作られたF1種の農作物は花粉が無いから結実しないはずなので、葉野菜はわかるが、実を食べる野菜や米などの穀物をどう実らせるのかが理解できなかった。

 図書館やネットでいろいろ調べたが、見つけても、カンペキ文系人間には、チンプンカンプンな学術論文のようなものばかりで、やっとたどり着いたのが、石綿さんの「結びの日々」というブログで、同じアブラナ科のダイコンとキャベツの交配についてもシロートにも分かりやすく解説してあった。

http://blogwatawata.blog.fc2.com/blog-entry-940.html

以下、石綿さんのブログ「結びの日々」より、勝手に無断引用、

「植物の種の壁はいい加減です。種がめちゃくちゃにならない程度に、生理学的な壁や生態学的な壁、地理的な壁など様々な壁が組み合わさって、良い加減に調整されています。そして様々なアクシデントが重なった時にエラーが起きる機会を保障しているように見えます。ケール類とカブ類の交雑からナタネが生まれたり、2種の開花時期の違う桜品種が交雑してソメイヨシノが生まれたり、事例に事欠きません。」 

以上、石綿さんのブログ「結びの日々」より、勝手に無断引用終わり。

というような、メからウロコの話があったり、

 以下、筆者が調べたこと

 フツーの生物、すなわち、細胞核を持たない原核生物以外の真核生物の場合、細胞は、大きく分けて核と細胞質からできていて、ミトコンドリアは細胞質にあり、遺伝子は核と細胞質の両方に存在している。一般的に遺伝子と呼ばれるのは、核遺伝子の方で、それと区別するために、細胞質遺伝子と呼ぶそうだ。

 その生き物の性質のほとんどは核に存在する核遺伝子によって決められるが、ごく一部は細胞質中の細胞質遺伝子によって決められる。雄性不稔現象は広範囲の作物で見つかっていて、この現象は核遺伝子に由来するものと、細胞質に由来するものとがあり、育種に利用されやすいのは、後者の細胞質遺伝子に由来する「雄性不稔」であるので、「細胞質雄性不稔」という言葉が使われているようだ。

 被子植物の多くの種(トウモロコシ,イネ,コムギ等)では、ミトコンドリア内の核外遺伝子によって花粉形成が阻止され、雄性不稔が起こる。これは、ミトコンドリアは雌性配偶子を通してしか次世代へ伝わらないので(細胞質遺伝)、花粉をつくる資源を種子形成に当てさせ、多くの種子をつくらせることによってミトコンドリアは利益を得るためである。しかし,花粉形成ができないことは核遺伝子にとっては不利益であるため、花粉の稔性を回復する核遺伝子(稔性回復遺伝子)がほとんど例外なく見つかっているのだそうだ。

 細胞の中で、エネルギーをつくっている小器官のミトコンドリアは、もともと別の生物であった細菌が、20億年前に細胞の中に入り込んで、共生を始めたものの子孫と考えられていて、植物ではミトコンドリアに存在する遺伝子の変異が原因で正常な花粉ができない現象(細胞質雄性不稔性)があり、花粉発育不全の程度はミトコンドリアの種類によって異なるため、ミトコンドリアが花粉の運命を決めるともいえる。一方、細胞の核では、ミトコンドリアの変異に対抗する遺伝子を進化させて、ミトコンドリアが原因で花粉が死ぬことを防いでいて、細胞内では、ミトコンドリアと核の遺伝子がせめぎあっているそうだ。

 稔性回復遺伝子は、雄性不稔遺伝子を不活化する遺伝子のことで、雄性不稔の植物と稔性回復の植物を交配してできた植物は、再び受粉ができるようになるとのこと。

 以上までは、ある程度、理解できていたので、

 以下、再度、石綿さんのブログ「結びの日々」より、勝手に無断引用。 

 元々優劣のない遺伝子を健康とか不健康と色分けすること、遺伝子が修復されたとか、健康を回復したという表現をすることは不適当ではないかと思います。どうにかしてF1品種を有害なものに仕立てあげたいのでしょうか。 

 遠縁交雑や突現変異、雑種強勢利用など植物が自ら変異する仕組みを利用する品種改良は、自然農法、有機農業においても有用な方法であり続けると思います。

 現状の種苗業界のあり方は、たくさんの問題を含んでいますが、そのことをもって交配種を否定することは筋違いでしょう。専業農家が誰でも容易に有機農業に取り組める技術開発の中では、交配種の利用は否定されるものではないと思います。

 在来種を守り、その自家採種や地域採種を復活推進することと、専業農家の使用に耐える種苗開発を両立させていく必要があると思います。 

19世紀のヨーロッパのジャガイモ品種は、南米からもたらされた2品種から全て由来し、特にアイルランドは極少ない品種が全土に作付けされていました。そして1846年にジャガイモ疫病が大発生し、大飢饉が発生した歴史があります。1970年代のアメリカでは、四分の三のトウモロコシF1品種にT型細胞質の雌系統が使われており、T型細胞質のみを犯すごま葉枯れ病が発生して大被害が出たという事例があります。 

 品種改良法は、放射線突然変異や細胞融合は、実は自然界でもまれに起こる現象をほんの少し出現頻度を上げているだけです。細胞(命)そのものを人間は合成できません。細胞融合で融合して一応植物として成立するポマト(ジャガイモ+トマト)などは、接木部から発生するキメラ植物中から自然発生してくるものです。通常はタネの出来ないサツマイモや昔から接ぎ木をしてきた果樹などでは突然変異が多く、なぜ作物は突然変異しやすいのかは人類にとってロマンのあるテーマです。

 これらの技術は無理矢理やっているように見えますが、選択権は植物にあり、最終的にはその生物が環境中でその性質をどう使うかということが選抜の要なのです。植物体に備わる変異性を引き出し、その体の一部を使って行う品種改良にとって、これらのバイテクはそのツールの1つに過ぎません。 

 しかし本では触れていませんが、遺伝子組み換えは事情が全く異なります。遺伝子を任意の配列につなぎ替えて無理矢理タンパク質を作らせる技術は、植物側に選択権がありません。またその遺伝子が導入後にどのように挙動するかなど、分からないことが多すぎます。生物自身が環境と関わりながら自ら変わるわけではないことから、遺伝子組み換えは品種改良とは言えないと考えています。 

 以上、石綿さんのブログ「結びの日々」より、勝手に無断引用終わり。 

 と、とってもナルホドなお話なのである。

 で、トップページに、「最近のわたわたは、太陽系の惑星の運行に基づいて今を知る地球暦の勉強を始めました。」とあったので、地球歴といえば、杉山開知さんにメールをしたところ、下記の返信があった。

「石綿さんは、種の育種に関してはスペシャリストですので、コレゾに近い人だと思います。以前、地球暦の展覧会でもテーマトークをしてもらいましたが、感性的にも、学術的にも、説得力のある内容で、人としても素晴らしく、石綿さんを推薦します。若手の新規就農者のグループを作り、いろいろな方向性を持つ農家の方たちをバランスよくサポートして、活動も幅広く、本当に素晴らしい方です。」 

 で、早速、石綿さんに、これまでの経緯とCOREZO(コレゾ)財団・賞、受賞者の杉山開知さんのことを書き、お目に掛かりたい旨をメールしたところ、「訪問を歓迎します。」との返答を頂いた。 

 ところが、何度か松本に伺う機会があったのだが、上手く日程が合わず、最後のチャンスで、2014年度の表彰式を開催する小布施に行く前にお目に掛かろうと画策したのだが、これも日程が合わず、ご縁がなかったのかと諦めかけていたら、表彰式にご参加下さるとおっしゃる。

 本来、現場で取材をして、受賞のお願いをするのだが、メールでご承諾を得て、受賞して頂くことにした。

 表彰式、特別公演の後、COREZO(コレゾ)ホンモノのつくり手、担い手である受賞者の皆さん全員参加で、それぞれの思いや考えを伺ったライブトークセッションのトリを石綿さんにお願いした。

−− 実際に、自然の生態系を利用した農業技術を開発し、自然農法による品種育成と採種の普及に取り組んでおられる研究者として、また、ご自身の農園で作物を作っておられるお立場から、安心、安全で美味しい食と種について、ご意見をお聞かせ下さい。

「受賞者の皆さんの日本酒やみりんのお話とも通じるところがあると思いますが、時間を掛け、じっくりと醗酵させたりして、つくられたホンモノには、多分、そのものづくりに関わった人々の情熱とか、醗酵に関わった微生物や生き物が一生懸命生きた証が宿っていて、それが、おいしさや感動や満足感につながっているのではないかと思います。飲んだり、食べたり、また、それを使ったりする人たちにとって、ものづくりに関わった人間や微生物とか、自然の何かしらの働きを取り入れたいという気持ちもあって、そういうホンモノが求められているのではないでしょうか?」

「『安かろう』というところに向かおうとする大きな動きがある中で、ホンモノが求められるようになってきているのは、自分自身につながるというか、自分そのものを成り立たせているつながりが求められているのではないでしょうか?手間、暇を惜しまずかけたものや職人さんが心を込めてつくったものとつながることで、自分というものを確かめたいというのが、今の時代の流れではないかと思います。」 

「そして、今、自分はどこにいて、何に向かおうとしているのかを考えることが大事で、それは、植物たちも同じですが、そもそも、豆って何だったのでしょう?農作物は全て、稲も、麦も、豆もそうですが、人間と付き合ったことで、今の形になっています。農作物が、どういう人と、どういう付き合いをしてきたのかというところから、醗酵食品が生み出されたり、それをどのようにして安定的に保存するかの知恵が生まれたり、建築も、衣食住すべて、私たちがどのようにすれば生きていけるか、というところから生まれてきたものだと思います。」

「なので、作物や食の安全を語る時には、まず、そもそも、私たちと作物や食が一体どんな付き合いをしてきたのかを考える中に大きなヒントがあります。今、どこに向かおうとしているのかという、私たちは、人間としての有り様を考える時代になっていますから、そういう立場からものごとを見ていくと、自ずと、その中から、私たちはどうしていけばいいのか、何とどうつながっていけばいいのか、というのが見えてくるはずです。」

「また、そういう心で、ものごとに向き合っている人たちはつながっていくというか、何かしらのいい出会いがあったり、偶然と偶然が重なり合うようにして、導かれていくのかな、というふうにも思います。なので、どちらかというと、枝葉のあれこれという手法を論じても、末節の結論しか生まれません。それより、やはり、心真っ直ぐに、ものごとに向き合い、学んで行くという姿勢が大切で、そういう人たちがうまくつながっていくと、いい人の輪ができて、いい世の中になり、いい未来を築けるのではないかと思います。」

 表彰式上で挨拶を交わしただけで、何の下打ち合わせもなく、最後を見事に締め括って下さった。感謝である。

 後日、現地で取材をさせて頂き、改めて、ご紹介させて頂く予定。

COREZO(コレゾ) 「食べることは生きること、食は受け継ぎ、伝える文化、自然の生態系を利用した農業技術を開発し、自然農法による品種育成と採種の普及に取り組む研究者」である。

 

 石綿 薫(いしわた かおるさんに関するお問い合わせは、

 メールで、info@corezo.org まで

 

※本サイトに掲載している以外の受賞者の連絡先、住所他、個人情報や個人的なお問い合わせには、一切、返答致しません。

 

COREZO(コレゾ)賞 事務局 (2014.12.最終取材、2014.12.20.編集更新 文責 平野 龍平)

Comments