倉住宏さん

COREZO(コレゾ)「地域発のスモールビジネスの手本、夫婦2人、星野村の梅と紫蘇、厳選した塩だけの梅干しづくり」賞

倉住 宏(くらずみ ひろし)さん


福岡県星野村出身、在住

 

「と井家本舗」代表

農業・林業

 


ジャンル

伝統食品

梅干し製造販売

 

経歴・実績

           1989年  福岡県星野村にUターン

           1993年  梅干しづくりを開始

      1998年  「と井家本舗」設立

 

受賞者のご紹介

倉住 宏(くらずみ ひろし)さんは、福岡県星野村で梅干しを漬けておられる。

 

 2013年10月、八女を訪れ、お酒屋や八女マスターの朝日屋さんに立ち寄った際に、店主の高橋康太郎さんから、「ちょうど良かった、この人、COREZO(コレゾ)賞に相応しい、オモシロイ方ですよ。星野村にも行ってみられたら如何ですか?」と、紹介された。

 

 倉住さんは、たった今、旧大内邸の田中真木さんのところに行ってきたところだとおっしゃる。真木さんと親しい方なら、間違いないだろうし、星野村は前から行ってみたいと思っていたし、夕刻の飲み会まで時間があったので、「えーっ、これから来るんか?」と言われながら、成り行きで伺うことにした。

 

 倉住さんに宿泊ホテルに送ってもらって、自分の車で追いかけることにしていたのだが、ホテルの前まで来て、

 

 「星野村まで40分程、一人で運転してもヒマでしょ?せっかくだし、また、ここまで送って来るけん、話しながら行きましょうか?」と、おっしゃって下さるので、恐縮しながらも、お言葉に甘えることにして、道中の車内で話を伺った。

 

−− 旧大内邸の田中真木さんと親しいのですか?

 

 「いや、お名前はよく聞いていて、先日、ボクが作った竹に詰めて焼いた塩を届けたら、丁寧なお礼状を頂いて、それからです。今度、旧大内邸で開かれる『竹と暮らし』というイベントにも誘われたので参加する予定です。」

 

−− なーんだ、ワタクシの方が古い付き合いじゃないですか?梅干しはいつから始められたのですか?

 

 「星野村に戻って来てからだから、20年程前からかな。」

 

−− どうして梅干しを始められたのですか?

 

 「ウチに梅の木があったから、ハハハハ。」

 

−− 梅干しをつくる経験はあったのですか?

 

 「ぜーんぜん、なーんもなかったけん、自分で納得する梅干しが作れるようになるまで20年も掛かかりました。」

 

−− どこかで教えてもらったとか?

 

 「本場だと言われている和歌山の南部には見学に行きましたよ。あそこは大規模なところが多いけん、真似はできんと思いました。ただ、梅干しというぐらい、天日で干すけんが、ビニルハウスを使ってたけん、これはすぐにマネしましたよ。」

 

−− 干している時に雨に当てたりしたらマズイんですね?

 

 「そうそう、だから、ビニルハウスを使うまでは、雨に降られるとイカンけん、1日中、番をしてました。

 

−− そこらの梅干しとどこか違うのですか?

 

 「梅干しは梅干しやけん、ただ、梅と紫蘇と塩だけで漬けちょる。梅は星野村産の紅陽種という小梅のみを使って、紫蘇はやわらかめのちりめん紫蘇、ウチの梅だけじゃ足りんので、今は、つくり方とか、収穫時期とかぜーんぶ指示して、親戚に頼んで、作ってもらってる。塩も色々試して、今は長崎産のを使っています。」

 

 というような話を伺っているうちに星野村の倉住さんのご自宅に着いて、奥様にもご挨拶した。

 

 「せっかく星野村まで来てもらったんだから、『お茶の文化館』だけでも行かんね。」とおっしゃって、奥様もご一緒に連れて行って頂いた。星野村は、お茶の名産地で、品質を保持するために、お茶の葉を1枚1枚手で摘み、昔ながらの製法で旨みを最大限に引き出した玉露の「しずく茶」は全国的にも有名らしく、それを頂いた。ぬるめのお湯をお茶の葉の入った小さく浅い器に注ぎ、蓋をして、十分に蒸らしてから蓋の隙間からすするようにして飲む。これが驚く程、甘くておいしい。2〜3煎目まで頂いて、残りのお茶の葉はポン酢で頂く。

 

−− うまみ化学調味料でも思いっきりかけているんですかね?

 

 「ハハハハ、そんなことはなかろうもん。ウチもお茶を作りよるが、この甘みと旨味を出すには手間が掛かってるよ。」と、倉住さん、ご馳走さまでした。で、ご自宅に戻って、

 

−− 梅干しは年間どのくらい生産されるのですか?

 

 「どのくらいって、5トン仕込んで、製品になるのは3.5トン位。ま、それが夫婦2人でできる限界やけん。」

 

−− どのように販売されているのですか?

 

 「道の駅や直売所にも置いているけど、ほとんどが電話かFaxで注文してもらって、送っているよ。」

−− 売れ行きは如何ですか?

 

 「その年、仕込んだのは、翌年、仕込むまでに全部売れてしまうよ。」

 

−− えっ?電話とFaxだけでですか?

 

 「そう、だってお客さん、300人以上いるけん、ほら。」と、ノートに記した手書きの顧客リストを見せて下さった。

 

−− えっ?失礼ですが、そんなに美味しいんですか?

 

 「ハハハハ、ほんまに失礼やねぇ、ま、雑誌や新聞に取り上げてもらえるようになって、お客さんが増えたけんが、美味しいか、美味しくないかは、お客さんが決めることやけん、繰り返し、毎年、注文してくれるお客さんが多いのは有難いことですよ。」

 

 「しょっちゅう、通販会社からも売らせてくれってくるけんが、これ以上、作ろうと思えば、人を雇わんとイカンし、給料も払わんとイカンし、誰のために働いてるやわからんようになし、第一、自分の作りたい梅干しが作れんようになったらイカンけん、やらん。」

 

−− 美味しさの秘訣ってなんですか?まさか、倉住さんの手塩やったりして・・・。

 

 「ハハハハ、ウチの親戚に頼んで梅を育ててもらっているんで、ちぎるタイミング他を細かく指示してるけん。」

 

−− どのようなタイミングですか?

 

 「少し赤味がつきはじめた梅が梅干しにはいちばん。普通は出荷して、一晩は置くことになるけど、ウチは、朝ちぎってその日の夕方までに洗って水に浸ける。それがうまさの秘訣ではないかと思うがわからんぁ、ハハハハ。それで、翌朝、5時〜5時半位から漬け始める。」

 

−− 早朝から漬け始めるのは何か理由があるのですか?

 

 「陽が昇ってから作業すると暑いけん、ハハハハ。」

 

−− 何処で作業をしておられるのですか?

 

 「何処でって、家の前。漬けて保管しているのは、父親が建てた蔵。」

 

−− どのような作業のサイクルなのですか?

 

 「梅干しは、三日三晩の土用の丑といって、土用の丑の頃に漬けるけん、7月後半〜9月半ばにかけて、毎日、300kg前後を漬け込んで、10月〜12月に出来上がりって感じかな。」

 

−− 作っておられるのは梅干しだけですか?

 

 「梅を使った梅肉エキスや漢方にも使われるネズミモチを作ったり、黒炭を焼いたりしています。」

 

−− これからの抱負は?

 

 「もっとお客さんに喜んでもらえるおいしい梅干しを作っていきたいですね。また、星野村は人口3000人程の過疎の村です。ウチでは、家の裏でしいたけの原木栽培をしたり、お茶も作っているけんが、道の駅や直売所にも置いているぐらいで、後は自家消費と親しい人を呼んで、しいたけ狩りや茶摘みをした後、バーベキュー大会なんかをしているけれど、もっと、人が来てもらえるようにしたいですね。」

 

 購入した梅干しは小振りだが、COREZO(コレゾ)梅干しというスッパイ昔懐かしい梅干しの味が詰っていた。また、自家消費用の無農薬のお茶を頂いたのだが、これもおいしい。

 

 で、COREZO(コレゾ)賞・財団の趣旨をご説明して、受賞のお願いをしたところ、

 

 「えっ、まだ、会って数時間ですよ。」とおっしゃるので、「知り合って、何年、何十年付き合っても、ワケのわからんヤツは、ワケのわからんヤツのままでしょ?」と、返答すると、「それもそうだ。」と承諾して下さった。

 

COREZO(コレゾ)「地域発のスモールビジネスの手本、夫婦2人、星野村の梅と紫蘇、厳選した塩だけの梅干しづくりである。

 

倉住 宏(くらずみ ひろし)さん関するお問い合わせは

メールで、info@corezo.org まで

本サイトに掲載している以外の受賞者の連絡先、住所他、個人情報や個人的なお問い合わせには、返答致しません。

 

COREZO (コレゾ)賞 事務局 (文責 平野龍平 最終取材2013.09. 編集更新2013.11.17.)

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