保坂一和里さん

COREZO(コレゾ)「創作精進料理、自らの体験から食の大切さを知り、心身が喜ぶ、おいしさと楽しさをつくる料理人」賞

保坂 一和里(ほさか かおり)さん


大阪府出身、徳島県三好市在住


自然菜食と田舎暮らしの古民家宿

「空音遊 (くうねるあそぶ)」

料理担当

 

ジャンル

地域振興

創作精進料理

 

経歴・実績

1981年 大阪府生まれ

2010年 大歩危・祖谷で暮らし始める

2012年 「空音遊 (くうねるあそぶ)」で料理の提供開始

 

受賞者のご紹介

 保坂 一和里(ほさか かおり)さんは、徳島県三好市の大歩危峡を望む吉野川沿いにある、大自然に囲まれた築90年の古い民家を改造した、自然菜食と田舎暮らしの古民家宿、「空音遊 (くうねるあそぶ)」の料理担当。主(あるじ)の保坂 行徳(ほさか ゆきのり)さんのご令室、「のり妻」さまであらせられる。

 

キッチンをセルフビルドで改装して「飲食店営業」許可も取得し、現在は「簡易宿所」+「飲食店」=「空音遊」として進化し、2012年4月から、食事の提供を開始した。

 

 かおりさんは自然食研究がご趣味だそうで、Webサイトには、「基本的に動物性食品(卵・乳製品含)・化学調味料・砂糖は使用しておりません。マクロビオティック・ビーガン・ベジタリアンの方も安心してお召し上がりいただけるかと思います。その他のアレルギーがある場合は、事前にお知らせいただければできるかぎり対応いたします。」とある。

 

ビーガンというのは厳格な菜食主義で、卵や乳製品も一切口にせず、動物性の素材を用いた靴・衣服も身につけないらしい。ということは生肉のドレスを着ていた米国のポップシンガーはきっとビーガンではないのだろう。知り合いがそのレストランをやっていて、一度食べたことがある。また、日本発祥のマクロビオテックは玄米、菜食中心の食生活法で、欧米の有名人やモデルにも人気があるそうだ。米国の有名な女性ポップシンガーは専属の日本人料理人を雇っていると聞いたことがある。

 それはともかく、そもそも、「自然食」には不健康な人が食べているというヒョコ歪んだ先入観があって、何となく敬遠していたのだが、食べてみると、ちゃんと作ったものをちゃんと調理しているので、しみじみとおいしいことが多く(自然食でもそれ以外でも、素材と調理がダメなのはマズイ)、今では何の抵抗もない。

 

 地元の情報通、久原孝子さんから、「空音遊」のランチがウマイという話を聞いて、2012年9月、取材がてら、食べに行った。

 

 さて、「のり嫁」さんのお料理はというと、豆乳で作ったというマヨネーズで仕上げたポテトサラダはとても上品な味、塩麹に漬けた石豆腐はチーズのような風味、祖谷こんにゃくの刺身には2種類のタレ、自家製味噌のみそ汁は野菜だけの出汁とは思えないうまさ、近所からの頂き物という栗ごはん、・・・、大皿と小皿、小鉢に14〜5種類の惣菜が並ぶ。

 

 いや〜、うまかったのである。満腹になったが、野菜のみで調理されているからだろうか、全く胃にもたれなかった。どれも素材を活かしていて、味付けも調理法も異なり、手間が掛かっているのはシロートでもわかる。酒の肴に良さそうな料理も何品かあった。さらに、無農薬有機栽培のマンデリンコーヒーと手作りデザートのカボチャプリンが付いて、な、なんと、驚きのバーゲンプライスなのである。

 

http://www.k-n-a.com/lunch.html

 

「ハハハハ、道楽です、道楽。泊まりでは来られないご近所に住んでいるような方にもこういう野菜の調理の仕方や料理があるのを知ってもらえたらいいなって。えっ?毎食こんな料理を食べているのかって?そんな訳ないでしょ、お客様がいらっしゃる時にはついでに作ってもらえますが、普段は玄米ご飯に野菜のみそ汁と漬け物ぐらいですよ。ま、基本、自炊の宿でしたが、お客様からのご要望もあって、食事も提供できるようになったので、そういう役割になったのかなと思っています。」と、保坂(のり)さん。

 

 「ランチも泊まりのお客さんの仕込みと一緒にします。タレやソースを作っておけば、あえたり、かけるだけのシンプルな料理や作り置き出来る料理もありますし、お料理するのが好きなので、楽しんで作っています。何よりもお客様においしいと喜んで頂けたらそれが一番です。」と、のり嫁さん。 

 

 一気にのり嫁さんの料理のファンになり、facebook友だちにもなってもらったので、時々、アップされる近況を見るともなく、見ていると、情報の感度が高く、「さすが、のり嫁さん」だったのである。何度かお会いしているのだが、話をしたことがなかった。

 

 で、保坂(のり)さんに、いっぺん喋らして、とお願いしていたのだが、ユーワクされると思われたのか、なかなか実現してもらえず、2013年9月、ようやくその機会が巡って来た。

 

 保坂(のり)さんは昼寝に入られたので、二人っきりで話を伺えると思いきや、お客様が二人おられた。

 

−− どちらのご出身ですか?

 

 「大阪なんですよ。洋裁学校を卒業後、ブティックの販売員約5年していました。販売ノルマがキツくて、スゴいストレスで、牛丼チェーンの牛丼を一度に2杯食べたり、世界的なコーヒーチェーン店の何とかラテだとか、生クリームがたっぷりのスコーンにハマって、そればかり食べていたり、食生活がメチャクチャで、ニキビだらけでした。」

 

−− ヘぇー、それは意外でしたね。食生活を改めるきっかけは?

 

 「24歳の時に、マクロビオテックに出会ったことですね。『まくろびお』という玄米菜食のレストランがあって、お料理がおいしくって、通うようになりました。そこのオーナーさんと親しくなり、食事療法で難病を克服されたのを知って、そこで料理も習うようになり、自分でも勉強を始めました。まず、家にあった調味料を全て替えました。」

 

−− 仕事は続けられたのですか?

 

 「ええ、中途半端な辞め方はしたくなかったので、自分で目標を決め、納得するところまで働いて、25歳の時に辞めた後、『次のこと探し』と称して、米国他を旅行したり、1年半以上 ボケーっとしていました。それで、26歳の時に、ある皮膚科医院の先生と出会い、ホメオパシーという民間療法の手伝いをするようになりました。」

 

−− ホメオパシーって何ですか?

 「一種のエネルギー治療です。健康な人間に与えると、それに似た症状をひき起こすであろう物質を、その症状を持つ患者にごく僅か与えることにより、体の自然治癒力を引き出し、症状を軽減するという理論に基づいた民間療法です。様々な物質をある一定の方法により、水で希釈を繰り返したものを砂糖玉に染みこませた『レメディ』という球形の錠剤を飲むことによって行われます。」

 

−− 何かで聞いたことがありますね。効果があるのですか?

 

 「私は、医師ではないのでその効果はわかりませんが、その治療法を望んで来られる患者さんはいらっしゃいました。インドにはアーユルヴェーダという伝統的な医学だけでなく、生活の知恵、生命科学、哲学の概念も含めた健康の基本的な考え方が残っていて、その素地もあったのだと思いますが、十分な医療を受けることが出来ない貧困層も多くいるため、お金がかからないということで、イギリス等から持ち込まれたホメオパシーが医療の一部と認識され、病気やケガの治療に広く使われているそうです。」

 

−− ん〜、何か難しそうなので、その話はこれぐらいにして、大歩危にはいつ来られたのですか?

 

 「ここで暮らすようになったのは、2010年の12月からです。」

 

−− こちらで飲食を提供しようという計画はあったのですか?

 

 「いいえ、でも、飲食店やカフェのような店を持ちたいという夢は持っていました。『空音遊』を改装することになり、料理も出せればいいなと思って、メニューなんかは考えていました。基本、空音遊』は自炊でしたから、常連さんや親しいお客様と一緒に料理をつくっているうちに、『作った料理を食べたい』というご要望もたくさん頂くようになったので、食事の提供を始めました。」

 

−− 先日、山口屋さんのご夫婦も召し上がったそうで、おいしかったとおっしゃってました。評判も上々のようですね?

 

 「有難うございます。砂糖は使わず、塩、醤油、自家製みそにこだわって、シンプルな味付けを心掛けています。切り干し大根やひじきにバルサミコ酢を少しアクセントとして使うと、こういう料理は初めて食べたとおっしゃって下さる年配の方々も多く、作り甲斐があります。外国人、特に欧米からのお客さんには、シンプルな調理が喜ばれるので、天然塩、ニンニク、ショウガ、バルサミコ酢などで味付けをしています。」

 

−− 料理教室も開いておられるそうですね?

 

 「はい、作り方も教えて欲しいとおっしゃって下さる方も多くて、もう10回位開催しました。今度、2013年10月には、AWAKOI(あわこい)という企画で、4週連続、料理とスイーツの教室を開きます。」

 

−− 保坂(のり)さんが、「食事を提供するまでは、『空音遊』には何もないというひとつの役割があったのでしょうね、自分探しの旅をする学生やバックパッカーが多かったのですが、食事を提供するようになって、一般の観光客が増え、人生の転機や何かのきっかけを求めて来られる方が増えました。『空音遊』を訪れて、自然の摂理に適った心身に優しい食事をして、食の大切さに気づいたり、食に興味を持ったり、のんびり過ごしているうちに、お客様ご自身の役割に気づかれたり、より良い生き方のヒントになれば嬉しいですね。」と、おっしゃっていましたが、「空音遊」に魅力が増えましたね。これからの夢をお聞かせ下さい。

 

 「有難うございます。そういって頂けるととても嬉しいです。お料理の世界は、答えがたくさんあり、どうなっても発見があります。ペケがないので、本当に楽しいです。そして、ゴールもなく、定年もありません。日々楽しんでお料理できるのは有難いですね。私は、『創作精進料理』と呼んでいますが、いつか、料理本を出したいですね。」

 

COREZO(コレゾ)賞・財団の趣旨をご説明し、受賞のお願いをしたところ、快諾して下さった。

 

COREZO(コレゾ)「創作精進料理、自らの体験から食の大切さを知り、心身が喜ぶ、おいしさと楽しさをつくる料理人」である。

 

保坂 一和里(ほさか かおり)さん関するお問い合わせは

メールで、info@corezo.org まで

本サイトに掲載している以外の受賞者の連絡先、住所他、個人情報や個人的なお問い合わせには、返答致しません。

 

COREZO (コレゾ)賞 事務局 (文責 平野龍平 最終取材2013.09. 編集更新2013.11.25.)

 

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