佐藤文彦さん

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COREZO(コレゾ)「気づきのきっかけを創り、若者たちからも支持される、おっとこ前な自然循環農業」賞

 佐藤 文彦(さとう ふみひこ)さん

大分県大分市出身、千葉県香取市在住

くりもと地球村 クリモトファーム 代表

有限会社三穂グレイン 代表取締役

http://kurimotoearthvillage.jp/

ジャンル

食・農業

自然循環農業

就農支援・農業研修生の受入れ 



経歴・実績

1956年 大分県大分市舞鶴町出身

1980年 横浜国大教育学部美術教育課程卒業、貿易会社に就職

1982年 大分県農協連合会組織・農協中央会 職員

1983年 農業行政のあり方に疑問を持ち、自然志向農業への想いが固まる

1982年 農協中央会を退職し、関東へ、大松農場で就農修行

1993年 栗源(当時の地名)で就農。完全無農薬・無化学肥料、草生栽培を実践

1996年 自身の耕作地、周辺施設一体を「くりもと地球村」と命名

1997年 農業生産法人㈲三穂グレイン設立

完全無農薬・無化学肥料の旬の野菜や有精卵、小麦粉や玄米等の宅配を開始

2003年 オーガニックピース館竣工

2011年 農業インターンの受入れが200人を超える

受賞者のご紹介

2010年にご縁があって「くりもと地球村」に初めて訪れた。

 「くりもと地球村」と聞いてどのようなイメージを持たれるだろうか?

 栗源(くりもと)という以前の地名にちなんで名付けられたそうだが、何となく「カッコええ」響きを感じながら、東京から車で約2時間、辺り一帯は田園地帯で、ちょっと古いカーナビでは出て来ない未舗装の道を走り、立て看板を頼りに、「くりもと地球村」に到着。ヤギをはじめ、ワンちゃん、ニャンコ、ガチョウ?(アヒル?)、ニワトリ等動物たちが盛大に出迎えてくれる。

 農業と言えば、茅葺きの古風なお家と農協の帽子を被り、首から手拭いを引っ掛けてといったスタイルを連想するが、ここは、どこか欧米の農場やファームの雰囲気がある。

 広い敷地にはひときわ象徴的なゲストハウスの「オーガニックピース館」、現在は「くらぶハウス」と呼ばれる共同炊事棟、作業小屋等と、佐藤さん家族が住む母屋(時々、食事会が催される)が並び、年代物のBMW、プジョー、ジープ、農機具等が無造作に止まっている。

 佐藤さんは親しい方々からは「ブンチャン」と呼ばれていて、ハッキリ、クッキリ、イケメン。普段の姿も、農作業姿もおっとこ前。ウエストには、パワーバンド?をキリリと締め、農作業靴もメ◯ルのゴアテッ◯ス素材のアウトドアシューズだ。奥様のナオさんもエ◯グルの長靴やラルフ◯ーレンが似合うべっぴん。とにかくよく笑い、笑うと林◯パー子さんに変身される。

「くりもと地球村」の特徴は、

1.1993年の開園以来、完全無農薬・無化学肥料での野菜作り

.野草や作物を発酵させて畑に還す自然循環農法と、自然力をたっぷり受けた完全露地栽培

.若者も安心して就農できるよう短期・長期の農業体験・就農支援のインターン受入れ

 「くりもと地球村」では、企業の社内レクレーションをはじめ、日帰り体験コース、短期滞在、就農研修等、それぞれの目的を持って訪れた皆さんが、活き活きと過ごしておられて、都会の生活に疲れた人たちが、農業と大地を通じて、元気と笑顔を取り戻すことができるパワーとエネルギーを感じる。

 約1年半振りに訪問した今回は、震災後、千葉県内で放射線量が高いホットスポットが見つかったり、千葉県産の農作物から放射線が検出されたりといった報道を見聞きしていたので、少々、心配していたのだが、以前の訪問時には、農業研修生が3名、短期滞在の女性が1名だったのが、現在は7名の研修生がいらっしゃるという。

  研修生の中には、同行者のブログを読んで、「くりもと地球村」に興味を持ち、研修にきた若者もいて、農場で採れたハーブティーとハーブ水を野外のテーブルに用意して下さった。佐藤さんに風評被害のことを伺うと、

 「そりゃ、ありましたよ。ウチの野菜の顧客は主に首都圏でしょ?そういうことに敏感な方が多いし、震災直後は避難された方も多くてね、一時はどうなるかと思いましたが、なるようにしかなりませんしね。実際に風評被害を受けている生産者もいらっしゃるので、ウチは積極的に放射線の検査はしませんでした。それでも顧客の皆さんからの要望で、去年、今年と検査しましたが、2回とも不検出でした。販売の方も、なんとか以前の状態に戻りつつあります。元々、少量しか使用していなかった有機肥料も年々減らして、今では無肥料栽培に移行し、さらに自然循環農法を進めています。研修生が増えているのも、震災後は、安心、安全で、おいしい農作物へのニーズがさらに高まっているからだと思いますよ。」

 「今夜は久しぶりに宴会しましょう。」とおっしゃって、研修生の皆さんと午後の農作業に向かわれた。

 オーガニックピース館はポスト&ビーム形式のログハウス。借りた畑の日当りを悪くしていた南側の檜や杉の植林を地主さんの許可をもらい、自分たちで伐採し、放っておくのももったいないので、それを利用して、知り合いの大工さんや農業研修生たちにも手伝ってもらい、なんと自力で建てたそうだ。初めから設計図や予算もなかったのに、材料も人も資金もそして仕上がりまで、綿密にプランを準備してもここまではできないだろうと思えるほどに自然に建ってしまったというからスゴイ。 

 木の香漂う木造3階建てで、1階は吹き抜けになった広いロビーとリビング、さらにミーティングルーム、ライブラリー、キッチン等のパブリックスペースで、2、3階は滞在者用の宿泊スペースになっている。

 ライブラリーには天井迄造り付けの本棚に本がギッシリ。農業関係の書物は勿論、自然科学、古典文学、哲学書から漫画迄、多種多様な本が並んでいる。これが佐藤さんの多岐にわたる豊富な知識のバックボーンだと思われる。その時読んでいた本の中で引用されていたミヒャエル・エンデの「モモ」が気になっていたのだが、ライブラリーにハードカバーを見つけて、つい読み耽ってしまった。

 「くりもと地球村」には何度かお邪魔していているので、そこでの生活を少し紹介する。

 朝7時のオーガニックピース館での全員参加(強制ではない)のミーティングから1日が始まる。お茶を飲みながら(佐藤さんは何故かお湯に醤油をいれたの?をよく飲んでおられた)、その日の作業内容や今後の予定、前日の反省、いろいろな出来事、感じたことを1人、1人、指名順に発言し、話し合う。全く知らない農業関係の話はとても興味深く、それ以外にも色んな話題が飛び出して、時々、佐藤さんのツッコミ、ナオさんの(ボケ?)笑い声をスパイスに、いつもおもしろ、おかしく参加させて頂いている。

 ミーティングが終わると、みんなで掃除をした後、朝食を作って食べたり、作業の準備をして、その日のそれぞれの作業に入る。

 滞在者はゲストハウスの隣の「くらぶハウス」で自炊をする。一人一品づつ作って、みんなでシェアするのが「くりもと流」だ。採れたての「くりもと」野菜を初めて食べた人は誰もがそのみずみずしさ、美味しさに腰を抜かす。都会のスーパーで、パックで売られているのと同じ野菜とは思えない。しかも、「くらぶハウス」に常備してある醤油類他の調味料はどれも「ほんまもん」ばかり、念のため。
 そして、その夜、みんなで手分けして作った献立は、平飼い鶏の産みたて卵のネギ卵焼、小松菜の中華風炒め、キャベツの塩揉み、大根と人参スティック味噌添え、カブラとじゃがいもの蒸したの等々と、いつもの玄米ご飯。どれもシンプルな調理ばかりだが、素材がいいので、どれもしみじみと美味しく、お酒も進む、進む。料理は素材で決まるのだ。 

 研修生の皆さんの話を伺っていると、企業から農業研修にきているおじさんや、東京でNo.1ホストだった青年、リハビリで滞在している方、元セキトリ?みたいな若者、就農したいと3年間の研修に取り組んでいる女性、海外から研修に来られている方もいて、出身地も、目的もさまざま。 

 皆さんが口を揃えておっしゃるのは、ご自身も含めて、農作業をして、おいしい「くりもと」野菜を食べて、規則正しい生活をしていると、アレルギー、体調不良や精神的なストレス等が解消されて、すっかり元気を取り戻した方が沢山いらっしゃること。

 みんなで作った美味しい食事を、みんなで食べていると自然に笑顔になる。TVのお笑い番組で作られた人工的な笑いとは本質的に違う笑顔だ。その素晴らしさを支えているのは自然と共生し、活きた土とそこから生み出される農作物は勿論のこと、オーナーの佐藤さんご夫婦とそこに集う人々の人的魅力に他ならない。


 皆さんと盛り上がっていると、東京の直売所に出掛けておられた奥様のナオさんと研修生のイカちゃんが戻って来られた。久しぶりの再会を喜び合った後に、コレゾ賞の趣旨をご説明して、佐藤さんにも受賞のお願いをしたところ、

 「ハハハハ、へーぇっ、それっておもしろーい。えーっ、表彰してもらうのにお願いされるのーっ?ハハハハ。おもしろそー、私も表彰式に行きたーい。えっ,自費ならいいの?なら、勝手に行きまーす、ハハハハ。」と、まだまだ、箸が転がってもおかしいお歳頃らしい。その夜もナオさんの笑い声で、オーガニックピース館の高い吹き抜けが一気に酸素不足になった。

 都会に生まれ育ち、お金さえ出せば、当たり前のように近所のスーパーやコンビニで食料が何でも手に入る生活をしてきた者が、その対極にある「くりもと地球村」で過ごして、佐藤さんたちと話していると、忘れていた大切なものに気付き、食生活をはじめ、自身の生き方を見直す絶好の機会になる。

 「食」はいのちの源であり、「食」を支えている農業は自然といのちに直接向き合う地道で、大変な仕事だ。佐藤さんは社会人になってから農業を志し、いろんな恩人とのご縁と知遇を得て、就農し、「くりもと地球村」を開設、運営しておられることもあって、ご自身も、「くりもと地球村に来て何かに気づいてくれれば・・・。」と、就農支援や農業研修生の受入れをしておられる。

 毎日、土まみれになって農作業をしておられる佐藤さんにこんなことを言うのは不謹慎かもしれないが、その信念、考え方、ライフスタイルがとっても「カッコええ」のだ。地球と全てのいのちに優しく、美味しい、若者から「カッコいい」と手本にされる農業もあっていいのではないかと思う。「くりもと地球村」は、都会の生活に疲れた時にまた是非、訪れたい取っておきの場所だ。


 COREZO(コレゾ)「気づきのきっかけを創り、若者たちからも支持される、おっとこ前な自然循環農業」である。


 訃報 

 2013年4月、佐藤文彦さんが急逝、永眠されました。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。


COREZO(コレゾ)賞 事務局 (最終取材2012.09.編集更新2013.05.10.文責 平野龍平)
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