中村茂史さん

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COREZO(コレゾ)「農的田舎生活を満喫しながら、持続可能な循環型社会の確立を願うシンプルな杉の家づくり」賞

中村 茂史(なかむら しげふみ)さん

たぶん兵庫県出身、奈良県宇陀市在住

 

中村茂史一級建築士事務所

http://web1.kcn.jp/shigezo/

 




ジャンル

伝統文化・建築

自然・環境

家づくり・設計士


経歴・実績

1982年 きょうとだいがくそつぎょう
    

      10年ほど東京で企業や設計事務所に勤務の後
     

      関西にもどり、一級建築士事務所を開設


2000年 第1回「大地に還る住宅」設計提案競技 最優秀賞(林野庁長官賞)受賞

http://web1.kcn.jp/shigezo/sample6.html

2000年 一級建築士事務所を奈良に移設


 

所属団体:日本昼寝倶楽部
     

よいとまけ普及委員会奈良支部

 

受賞者のご紹介

 中村 茂史(なかむら しげふみ)さんは、法隆寺に次いで日本で二番目に古い五重塔(1998年の台風被害に遭ったが、修復済)で有名な奈良県宇陀市の室生寺からスタコラ山を上がった築約200年の農家?付、お山と農地で、畑仕事をしたり、山の手入れをしたり、草払いをしたり、カヌー遊びをしたり、一級建築士事務所も営んでおられる。「日本で室生寺に一番近い設計事務所」だそうだ。

 2001年、宇宙の・・・、モトイ、拙宅の設計依頼をしてからのお付き合いだ。

いつかは自分の家を建てるゾと思っていて、住宅雑誌や住宅番組をずっと見てきたが、いざ建てるとなるとコレゾという考えがまとまらない。住宅展示場を巡ったり、当時、話題になっていた高気密・高断熱の家、外断熱の家のモデルハウスにも見学に行った。

 気密性を高めるためとかで、断熱材をガムテープのようなもので留めているので、案内係に「粘着テープの耐久性能は何年?」と尋ねると、「ちょっとお待ち下さい。」と事務所に入って行ったので、ついて行くと、「あのお客さん、ヘンなことばかり聞いてくるんですぅ。」なんて言ってる。「まともに説明もできんヤツに接客させるな。」ちゅーねん。 

 営業所長ヅラしたのが出てきて、「えーと、そのテープですけど、10年は持つと思いますよ。」ときた。「へぇー、ということは10年後には外れても仕方ないってこと?」、「いえ、そういうことでは・・・。」、「耐久性を証明するようなデータを見せて。」、「えーと、そういうものはありませんが、ウチは高断熱・高気密なので24時間換気ですよ。」、「吸排気は熱交換してるの?」、「ね、熱交換?吸気口を設けて、換気扇で換気しております。」、「高断熱・高気密の意味あれへんやん?」、「そ、そうですかねぇ?」と、万事この調子なのである。

 こりゃ、いいぞ!「高気密・高断熱・外断熱」!!おまけに「住宅10年保証制度(住宅性能保証制度)」!!だ。モデルハウス商法、ハウスメーカーへの信頼感は一気に高まったのであった。 

 住宅設備は全部自分で手配をしたので、現物を確かめるのに何社ものショールームを訪れた。説明を求めたり、「サンプルが欲しい。」と頼むと、どこでも、「どこのメーカーさん?」、「どこの工務店さん?」、「設計事務所さん?」と、必ず尋ねてくる。「施主にはもらえんの?」と聞くと、「この人、何言ってんの?」みたいな顔をされて、「通常はメーカーさんとかを通じてお願いしてるんですよね、今回に限りですよ。」だって、これってどういうこと?わざわざ訪れた実際にお金を支払うエンドユーザーはカヤの外?


 こうして、家づくりを通じて、住宅・住設業界というのは、まっこと珍妙なギョーカイであることを思い知ったのである(今はマットーになっていることを願ってまーす) 

 仕事柄、日本旅館に泊まることも多かったので、日本の伝統建築の家に住みたいという願望はあったが、最後の宮大工といわれた故西岡常一(にしおかつねかず)さんの著書を読んでから、さらに「木組みの家」を建てたいと思うようになった。 

 それらしき家を建てている工務店、設計士に片っ端から連絡したが、どこも中途半端な応対で、納得いく説明もできない。当時、雑誌によく出ていた木造で有名なある建築家なぞは、「住宅は現場監督が一番大事」と宣う始末。拙宅建設時にはそんな人はいなかったが、立派に建っている。 

 どこに尋ねても、見積以前に「オマエには無理」顔で、確かにどう逆立ちしても手が出ない坪単価を言われ、諦めかけていた時に、神戸HDCにあった木の香りのするTSウッドハウスのモデルルーム(現在はないらしい)を思い出し、再度、訪ねた。ファイルにあった何人かの建築士の作例の中から、一番気に入った中村(自称しげぞー)さんに連絡したら、「いっぺん遊びに来ませんか?」とおっしゃるので、事務所兼自宅のあった奈良県の大宇陀まで会いに出かけた。 

 古い長屋の一軒に、「中村茂史一級建築士事務所」と手書きしたかまぼこ板のような看板、いや名札みないなもんがぶら下がっていた。土間があって、1、2階とも2間、それも3畳とか4畳半のコンパクトな造りで、どこか懐かしく、小学校に上がるまで住んでいた生家を思い出した。ご自身の設計思想通りのシンプルな暮らしを実践しておられたが、21世紀に冷蔵庫のない生活は、ちょっとしたカルチャーショックであった。


 その後、中村さんが設計した家を見に行ったり、TSウッドハウスの伐採ツアーに誘われて、一緒に徳島県木頭村の山林へ出掛け、三浦茂則さんをはじめ、TSメンバーの皆さんの思いや暖かさ、TSの杉の凄さに触れた。こちらのヒネクレタ疑問にも熱心に答えて下さって、中村さん+TSウッドハウスに家づくりを依頼することに決めた。 

 「しろーとは黙っとけ」的な終始一貫した「しげぞー」はんペースで、書面での契約も無いまま家づくりが始まった。というか、自分だけの時間の観念と価値観で生きておられるので、俗世間に生きている人間は慣れるまで大変なのだ。アレもコレもと注文を出すと、「小欲に凝り固まった小市民の家は造れん!」と罵倒され、一時的なストレスがあったにしろ、結果的には必要最小限の小市民的希望は取り入れられ、見事なまでにシンプルなナカム式杉の家が出来上がった。 

 それも、ほとんど口約束だけで、完成後に融資が実行されるまで一円も払えなかったのに、完成して引き渡されたのは、この契約社会にあって契約書を交わしても守らないヤツが多い、ふざけた世の中へのアンチテーゼではないかと思う。ちなみに、ほぼ無垢材のみ、クギや金物を使わない木組みで、大工さん、職人さんの技がピカピカに光っているのに、支払い可能な納得の金額だった。 

 誤解を招くといけないので、中村さんは、決してイカツイ系ではなく、見かけはホンワカ系である。「気難しい自己陶酔型作品系自称建築家」?でもなく、「にっこり笑顔でなんでもやります営業系自称建築家」?でもなく、「すっきりさわやか実質本位系設計士」だ(かなりアブラギッシュだが)。 



 「小欲に凝り固まった小市民」と罵倒されたことは、完成した家に住み、設計の合理性に気づいて納得した。最初にもらった図面では階段は梁方向に取り付けてあったのに、シロート考えで直角方向に変更してもらったことが悔やまれる。階段を通すのに、構造材である梁を2本切ることになったからだ。

 ま、それだけよく考えられた家で、大宇陀の山奥で仙人修行をして、カスミを食わずに、冷蔵庫で保管しない、ひき立て、ほんまもんのカシワやトロトロの下仁田葱を食ってきただけのことはあるなと思った。

 中村さんの考え方はこうだ。 

 真の環境共生。木材は太陽エネルギーにより育成されるもので、自然が自然に育むものである。 また廃棄に必要なエネルギーも放っておいても土に還るのだから本質的にゼロ。 家を建てるために伐採する木の樹齢以上に家を長持ちさせて、その需要量を供給量に見合うようにコントロールできれば、環境に負荷を与えることなく永久に建築用材を自然から得られる。

 植林された木で建てる。天然の杉や桧だけでは住宅建築に必要な木材を供給することは不可能で、外材ではない日本の植林された木で構造材(特に梁桁材)に使える材種は、成育年度や価格あたりの成長量・強度の性能を考えれば杉をおいて他には考えられない。



 並材の活用。製材した木に節があるのは当たり前で自然なこと。 一等材(並材)の値段は四方無地の20分の1くらい。並材を床や壁に厚み3~4センチの板で使うことでタルキや根太を省略でき、さらには仕上げ材・断熱材も兼ねることができる。杉材の材積は増すが、杉板以外の材料・工程・手間が減るためにそのコストアップ分は相殺される。 

 今の日本の住宅の現状は、建物の最も本質的な部分である構造体がお粗末で、仕上げ、或いは設備のように取り付けたり、張り付けたりする表面的なことばかりにお金をかけた住宅が、流行に流されて、外観・仕上げや設備が古臭くなったといっては短いサイクルで建て替えられている。 

シンプル・コンパクト・ローコストであること。奇をてらったり、いたずらに凝った設計にして材料・施工手間を増やすことをなくし、単純明快な設計とすることでコストを抑えつつも、手間はかかるが、理想的な木構造をめざす。また、無駄のない合理的な間取りにすることで総工費をおさえるようにする。さらに、構造体や床・壁などの材料には集成材や張り物といったものは一切使わずに、無垢の材料をなるたけ手を加えない形で活かす。 

 詳細は中村さんのWebサイトをご覧頂きたい。


 価値観は人それぞれだが、周りに建っているのはほとんどがハウスメーカーの家だ。それだけ営業力があるということだろう。はたして、「営業力がある」=「たくさん販売されている」=「ええ家」なのだろうか?ハウスメーカーはたくさんあるが、外見ではどこのメーカーなのか見分けがつかない。最近では、屋根材や外壁材のメーカーが淘汰されて、どんどん選択肢が少なくなっているようだ。

 ナカムラ式シンプルな杉の家はどこからどう見てもナカムラ式で、知っている人なら一目でわかってしまう外観だ。特に都会や新興住宅地では目立ってしまう。それも機能と合理性を追求した結果なのだ。 


 ヘンはヘンを呼ぶというが、ヘンなやつほどヘンなもんには心惹かれてしまうものである。なんでこんなヘンなおっさんが的な美的センスで、めんどくさいを極めると無駄を全て排除したシンプルな家に行き着くのである。フツーにフツーの価値観と煩悩をお持ちの方にはいささかキビシイかもしれない。

 建築中から完成までの情報は氾濫しているが、家を建てたい人が知りたい、建てた後の住み心地や建物の経年変化の情報は、ほとんど提供されていない。「ナカムラ式」では完成後の情報も積極的に公開している。フツーの家は完成した瞬間がピークでどんどん劣化していくが、石膏ボードに貼ったクロスが経年劣化していくのだから仕方がない。「ナカムラ式」では、最初は杉の白太と赤身のコントラストが目立つが、年月を経るとどちらもアメ色に経年変化して、色もなじみ、味わいが増して行く。ほんまもんだけが持ち得る魅力だろう。

 「家は3回建てないと満足できる家は建たない」というが、そんなことができる人はごく稀で、1回でも建てられたらええ方かもしれないから、イザ、家を建てるとなると、「あれもしたい」、「これもしたい。」と、舞い上がってしまうのがフツーの人の心理で、次々に湧き上がってくる煩悩と予算の狭間で、「小欲に凝り固まった小市民」になってしまうのである。

 商売なら、そういう客の不安定な精神状態につけ込んで、懐具合を探り、可能な限り、借金が増えようが金を引き出させるのが当たり前だろう。「住設機器の商売は、建物と一緒くたに住宅ローンにしてしまえるところがミソで、何千万のローンを組もうとする人は、10万とか20万とかの金銭感覚を完全に失ってまーす。」と、住設機器の営業をやっている人から聞いたことがある。 


 ま、そんな煩悩頭に、「小欲に凝り固まった小市民!」と冷水を掛けてもらったことには感謝せんとアカンのかもしれない。

 「おうち」は、フツーの人には人生で一番高額なお買い物であり、「自称建築家」のセンセーの作品に住んでおられる方もいらっしゃるので、住まい手の方か、つくり手の方かの違いはあれ、煩悩が形になったものが「おうち」のような気がする。「家づくり」は、それまでの人生を見直し、これからの生活を考えることのできる最大のイベントのひとつではないだろうか? 

 それと同時に、「家づくり」は敷地の選定からコンセントの形状、取り付け位置まで、フルオーダーメードの世界なので、同じつくるなら、目一杯楽しまないと損なのである。ハウスメーカー指定の土地なんてもってのほかだと思う。 

 土地の選定、依頼先の選定、TSの伐採ツアー、設計、設備選び、木材の刻み、基礎、棟上げ、内外装、外構・・・、完成が近づくにつれ、職人さんの仕事が見られなくなる寂しさがこみ上げてきて、棟梁に「もっとゆっくり建てて欲しい」とお願いした程、掛かった費用、かけた労力以上に心底、楽しめた。

 2005年、中村さんは山と農地付の築約200年の古民家を購入して、大宇陀から室生に引越しをされた。今なら、テメーの作品にこれ見よがしに住んでいらっさる自称建築家のセンセーが多いのに、見上げた見識だと思うが、当時は、古民家には多少の興味はあったが、「何でまた、好き好んでこんな不便な田舎に住むの?設計士やったら、施主の手前、テメーが設計した家に責任持って住めよ。」とぐらいにしか思っていなかった。 


中村さんは自己紹介で、「学生時代に読んだローマクラブの報告書は衝撃的だった。自分の住む大地を自ら汚していくような暮らし方はもうやめなあかん。かように考えて『田舎暮らし』をはじめた。」と、おっしゃっている。

 「ローマクラブ」とは、地球の有限性と言う共通の問題意識を持った、世界各国の知識人で構成される民間シンクタンクだそうだ。

 実際、中村さんへの依頼人は環境問題等に意識が高く、自然共生志向で、自然食等身体の安全に気を使っている方(特に奥様)が多いようだ。依頼時、そんなことには特段の興味も、関心もなく、「おもろい」か「おもろない」か、「ほんまもん」か「パチもん」か、程度の価値観で生きていて、中村さんに家づくりを依頼したのは、「ほんまもん」で「おもろい」からだった。 

 そして、家づくりを通じて、関わって下さった中村さん、三浦さん、棟梁をはじめ、多くの出会いがあり、ご縁が生まれ、日本の林業、建築、住宅関連業界の現実も垣間見てしまって、「このままでは日本の伝統文化やかけがえのないものが消滅してしまうのでは?」という危機感を持ったのが、コレゾ財団の設立を考える源流だったのかもしれない。

 ナカムラ式シンプルな杉の家に住み始めてから10年以上が経過して、東日本大震災、福島原発事故が起こり、自分の周りを見渡すと、大切なことに気づいて、既に行動を起こしている人がたくさんいらっさったのである。


2012年、「スーピーじぇったー」こと、「しげぞー星人」が「流星号」に乗って現れた。モトイ、中村さんがなんと初代インサイトに乗ってお出ましになったのである。残念ながら、パラライザー銃もタイムストッパーも所持していなかったが、エコカー減税が始まるまではハイブリッドカーには何の興味もなかったので、初めて現物を見せてもらった。

電池がでかくて後部座席が占領されているので、2人乗り。しかも、MT車で、500台しか生産されなかったそうな。いかにも数奇者車、えきせんとりっくカーなのであった。しげぞー一家3人が乗れんので、家族乗り用にバモスホンダまでご購入なされたそう。宇宙的視野でものごとをみているオジサンはやることが違うのである。

 コレゾ賞の趣旨をご説明し、受賞のお願いをしたところ、

 「んー、んー、ぷしゅ〜。」と、その日は、思考停止をされたのか、そのまま帰還して行かれたが、数ヶ月後、再度、お願いしたところ、

 「受賞はともかく、参加してみる気にはなるました~。おもちろい人に会えるかも知れんから。」というメールが来たので、ゴーインにご承諾頂いた。

 

 COREZO(コレゾ)「農的田舎生活を満喫しながら、持続可能な循環型社会の確立を願うシンプルな杉の家づくり」だ。

 

中村 茂史(なかむら しげふみ)さんに関するお問い合わせは、

メールで、info@corezo.org まで

※本サイトに掲載している以外の受賞者の連絡先、住所他、個人情報や個人的なお問い合わせには、返答致しません。

 

COREZO(コレゾ)賞 事務局 (最終取材2012.04.編集更新2013.02.28.文責 平野龍平)

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