黒木公子さん

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COREZO(コレゾ)「一念岩をも通す、池田をこよなく愛する肝っ玉せんせいの町おこし」賞

黒木 公子(くろき きみこ)さん

池田町町出身、在住

三好市女性連絡協議会 会長 

きらり本町 代表

http://kirari-honmachi.ciao.jp/

池田うだつのまち歩きガイド

阿波池田たばこ資料館

http://www.museum.tokushima-ec.ed.jp/tokuhakukyo/map/ikedatabako.htm

ジャンル

観光・地域振興

まちづくり


経歴・実績

地元中学校の教諭、教頭を務める

1990年 下名(しもみょう)小学校 校長

1997年 退職

      阿波池田たばこ資料館開設に尽力

2011年 きらり本町 代表

2012年 まちかど資料館 運営再開

受賞者のご紹介

黒木 公子(くろき きみこ)さんは、数々の小中学校で教鞭を執って来られたので、教え子がたくさんおられて、地元では知らない人がいない程の有名人。徳島県や三好市の観光課でも「黒木先生」のお名前を伺ったり、「学校の大先輩でなんでも言うことは聞かないといけない」と伺ったり、「くれぐれも粗相のないように」と諭されたりで、お目に掛かる前には、どんなに怖い先生なのかとちょっと心配していた。

 徳島県三好市池田町にある「阿波池田たばこ資料館」で待ち合わせた。「ごめん、ごめん、よう来てくれた。」と、すぐ傍のご自宅からやって来られた。想像していたイメージ?とは違って(失礼)、とってもにこやかで朗らかな方だったので一安心。

 「東京の大学を卒業して戻ったら、池田高校西祖谷分校に教員の空きがあると紹介してもらって,教職に就いたのだけど、当時は、池田から西祖谷に通うのはバスで、旧祖谷街道経由だったから2時間以上もかかって、大変だったのよ。」と、懐かしそうに振り返られた。

 教師時代は、「心豊かに、感動できる日々を子供たちに体験させたい」と、教鞭を執ってこられた。退職後は女性の資質向上と地域の活性化のため、三好市女性連絡協議会を立ち上げ、地域の婦人会を始め、別々に活動する女性の団体を取りまとめて、精力的に活動をしておられる。

 昔から池田はたばこの町だった。「かか巻き」、「とと切り」というように、特産のたばこの葉を女性が手で巻いて、男性が刃物で切り、刻みたばこにして行商して歩いていた。ある時、香川の商人に売ったところ、その商人は北前船を運航していて、昆布切りの機械がたばこの葉切り(刻み)に使えるのではないかと北海道から取り寄せ、たばこの刻み工場を始めた。行商人は香川の商人にたばこの葉を届けるだけでなく、池田でも刻み機を販売したおかげで、たばこ産業は更に盛んになった。





  明治34年、たばこの専売制が敷かれ、葉たばこは公社の生産管理の下、全量買い取りとなり、民間工場での生産、販売はできなくなった。そのうちの何軒かが転業して、今でも池田に何軒か残っている造り酒屋となったそうだ。 
 この「阿波池田たばこ資料館」は、民営たばこ工場をしていた旧家が売りに出され、黒木先生たちが市に買い取るよう働きかけて、資料館となった。さらに、黒木先生は既に生産が打ち切られ、種が途絶える危機にあった「阿波葉」と呼ばれる国産在来種の葉たばこの種をある小学校の校庭に埋められていたタイムカプセルから見つけ出し、種の保存と文化の伝承の為に特区申請をしておられる。

 ここまではこちらから何も尋ねていないのに、一気に熱く語って下さった。

 黒木先生は「池田うだつのまち歩きガイド」の組織も立ち上げた。「うだつ」は、隣家との間に造られた土造りの袖壁で、防火壁等の役目をしている。「うだつ」を造るには相当の費用が必要だったため、財力のある裕福な家しか設けることができなかった。「うだつが上がる」のはかつての富の象徴であり、そこから転じて、「うだつが上がらない」の語源、由来となったのは有名な話。「うだつ」がたくさん上がった「うだつのまち並み」が残っているのは、当時の繁栄を今に伝えていることになる。

 




「うだつ」といえば、近隣の美馬市脇町がよく知られるが、こちらは、染料の藍で栄えた町で、映画のロケがきっかけとなって、一躍
有名になったそうだ。麻の文化を日本全国に伝えたのは阿波忌部の一族で、その麻織物を染めるために藍の栽培が始まり、吉野川流域に広まったといわれている。実際、平成の大嘗祭には徳島県在住の阿波忌部直系の一族が、
「麁服(あらたえ・麻の織物)」を調整し、貢進された。
 
 このたばこ産業で栄えた池田でも富の象徴として富裕な商家が競って「うだつ」を上げた。この池田のうだつの町並みの特徴は、観光用として整備されたものではなく、池田の日々の暮らしの中に溶け込んでいることで、現在、18の「うだつ」が残っているそうだ。

  写真撮影をお願いすると、「もっとキレイにしてきたらよかったわねぇ。」と、イメージキャラクターの「うだつ姫」人形を持ってポーズを決めて下さった。十分、おキレイである。その上、「うだつ姫」人形相手に腹話術もご披露下さった。関西にお住まいの方ならご存知の「『関西電◯保安協会』TVCMのおっちゃん以上に口が完全に動いていますよ。」とツッコミを入れたが、一切無視して、最後まできっちりネタ見せをして下さった。 

 2011年には、徳島県三好市池田町のうだつの残る町並みの保存を中心に、中心市街地の活性化や伝統文化の継承を目的としたボランティア団体である「きらり本町」も立ち上げ、さらに、活動の場を広げておられる。 

 三好市池田町の古い町並みで行う手作り市「うだつマルシェ」の運営、たばこ商家の蔵を改造した「まちかど資料館」の企画展、イベ

ントスペース「スペースきせる」の運営を行っている。
「スペースきせる」は、築150年の町家を活用したイベントスペース。こちらも黒木先生が借り上げのご尽力をされた。もともとはたばこ商家で、その後、呉服屋「かねき」として営業をしていたことがあり、その名残で軒先に屋号の透かし彫りが現在でも残っている。


2階建てで、広さは180平米あり、現在1階の一部をイベントスペースとして利用している。
 「うだつマルシェ」は地元の出店者を募集して、「スペースきせる」を中心に年4〜5回開催されている。また、「出張うだつマルシェ」として、徳島県外の産品市などへ出店し、「うだつマルシェ」に出品された産品の販売や広報も行なっている。
  「まちかど資料館」は、本町通りのほぼ真ん中に位置するうだつのある旧家の蔵を活用。

持ち主の真鍋家は万延元年(1860)から刻みたばこ製造業を営み、真鍋靖郎氏の個人コレクションである刻みたばこ関連の商い帳、古文書、キセル、当時の写真や新聞、生活用品など収集品、約一万点を展示。特に明治から昭和時代までの引き札(宣伝用多色刷り版画・ポスター)のコレクションは貴重だそうだ。こちらも黒木先生が持ち主から鍵と活用方法を託されておられる。しばらく閉館していたそうだが、2012年より企画展に合わせて開館をしている。

 後日、その「スペースきせる」、「まちかど資料館」他、うだつのまち並みをご案内頂いた。かつて、池田高校野球部を率いて、何ども甲子園に導いた故蔦監督の生家もあり、池田の往時の繁栄とその歴史を教えて頂いた。実は、黒木先生のご先祖さまが、鉋による葉たばこ刻み器「剪台(せんだい)」を発明され(たばこ資料館にも展示されている)、現在もお住まいのご実家にも立派な「うだつ」が上がっている。

 しかし、この本町通も、毎年、2月に開催される「四国酒祭り」開催時以外は人通りもまばらだ。最寄のJR阿波池田駅前の商店街はシャッター通りとなり、アーケードは半ば常設屋根付駐車場と化している。

 「池田にあった専売公社のたばこ工場も閉鎖され、ショッピングセンターになりました。私はたばこを吸いませんし、これからは吸う人ももっと減ると思います。ただ、たばこを吸う、吸わない、その善し、悪しはともかく、池田はたばこで栄えた町です。見て下さい。うだつの上がっていた旧家がどんどんなくなって本町通りも歯抜けになりつつあります。家を継いで維持して行けないのです。このままだと池田の歴史、文化だけでなく、池田の存在自体も人々の記憶から消えてしまいます。若い人に伝え、引き継ぎ、池田を存続できるような活動を続けていかなければなりません。何にもしないで批判するより、例え批判されても、いつも自分のできる何かをしている方が楽しいでしょ。だから、私はいつも忙しいですよ。」


 黒木先生はとびっきりエネルギッシュな肝っ玉センセだ。地元の皆さんが「センセ、センセ」と慕っておられるのがよくわかる。取材中もしょっちゅう電話が掛かってきて、こちらが、ちょっと取材メモに気を取られていると、次はこんなイベントをするから協力してと同行して下さった方に話されている。 

 阿波池田はJRでも高速バスでも基点となる町で、何度も訪れているが、駅前の寂れた商店街しか印象になかった。黒木先生は過去の栄華を偲びながらも、今後、もう一度、人が集まる町にしようと奔走する郷土愛にあふれたセンセである。お目に掛からなければ、この町にたばこの歴史があって、「うだつ」の町並みが残っているのも知らなかっただろう。

 「出掛けていることも多いですが、いつもは池田の町をうろうろしているので、阿波池田たばこ資料館で尋ねてみて下さい。お話しするのは大好きです。この地に興味を持って下さった皆さんにお会いできるのは楽しみです。」と黒木先生。

 黒木先生はとってもお忙しいが、運良くお会いすることができれば、池田の町並みがさらに魅力的に見えるに違いない。

  コレゾ財団・賞の趣旨をご説明し、受賞のお願いをしたところ、

「あなたがそう言ってくれるなら、有難く受賞させて頂きますよ。せっかく全国から受賞者の皆さんがお越し頂けるなら、池田にもご案内したいですね。」と、趣旨を完璧にご理解頂けたようだ。


 後日談

 黒木先生は、日本たばこ産業による葉タバコの買い取りが終わった2009年から、400年続く、在来種の葉タバコ「阿波葉」生産・製造の伝統文化保存を目的に、三好市と共に特区提案を続けて来られたが、その努力が実り、2012年9月、財務省が、「吸えないタバコをつくる」、「県と市が管理した上で実施する」という条件を付けた上で、「現行のたばこ事業法に抵触しない取組みだ」と判断した。「四国酒まつり」等のイベントにあわせて年に数回、「阿波池田タバコ資料館」で、約200年前に行なわれていた加工実演を市職員が、観光客向けに再現することになった。

 その新聞報道を拝見して、黒木先生に連絡すると、「いやぁ、見てくれたん?ようやく思いが実ってな。有難う。有難うな。」と、黒木先生。◯◯の一念、岩をも通すである。


COREZO(コレゾ)「一念岩をも通す、池田をこよなく愛する肝っ玉せんせいの町おこし」である。

 

黒木公子(くろき きみこ)さんに関するお問い合わせは

メールで、info@corezo.org まで

※本サイトに掲載している以外の受賞者の連絡先、住所他、個人情報や個人的なお問い合わせには、返答致しません。


COREZO(コレゾ)賞 事務局 (最終取材2012.09.編集更新2012.11.30.文責 平野龍平)

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